リンゴに含まれるリンゴポリフェノールに、脂肪が体内に蓄積するのを抑制する効果があることが、弘前大学農学生命科学部の長田恭一助教授の研究グループとアサヒビール(本社東京)の共同研究で分かった。長田助教授は「抽出したリンゴポリフェノールを素材にした飲料やサプリメントなどは、肥満予防の効果が期待できる。リンゴそのものは糖質も含まれるので、バランス良く食事を取る中で、一日一個食べてほしい」と話した。
研究は昨年六月から開始。ラットを六匹ずつのグループに分け(1)普通の餌(2)高脂肪の餌(3)高脂肪の餌にリンゴポリフェノールを1%配合−をそれぞれ摂取量が同じになるように、九週間与えた。
高脂肪の餌を与えた(2)、(3)のラットは、普通の餌のラットに比べ、体重は増加。内臓の脂肪の重さを調べたところ、リンゴポリフェノール配合の餌を与えたラットは、高脂肪の餌だけを与えたラットよりも軽く、脂肪の蓄積が約六割抑えられていた。
また、リンゴポリフェノールを摂取したラットは、肝臓で脂肪を燃焼させる酵素の活性が高まっていた一方で、脂肪を合成する酵素の活性が低下していたという。
高脂肪の餌に、ダイエット素材として注目されている茶カテキン1%を配合したものを与える実験も行ったが、リンゴポリフェノールは茶カテキンと同程度に、脂肪の蓄積を抑え、肝臓内の脂肪燃焼を促進し、脂肪生合成を抑制する作用があることが分かった。
今後は、脂肪の蓄積が抑制されたメカニズムを詳しく調査する。
長田助教授はこれまでの研究で、リンゴポリフェノールに、体内のコレステロールを低下させ、有害な過酸化脂質の吸収を抑える作用があることも突き止めている。「リンゴはさまざまな疾病を予防し、老化防止にも役立つ。このような機能性を付加価値としてアピールし、リンゴ産業が活発になってほしい」と話した。 (東奥日報)